【第13回フィールドワーク】2023年3月 伊豆半島の生きている大地の存在論

研究会で主に動植物の探索を続けているうちに、我々の気儘な好奇心はいつのまにか大地や鉱物に向かった。ということで、今回、東伊豆から南伊豆を経て、天城を越え、修善寺から三島まで、生きて動き続ける伊豆半島を訪ねた。

2000万年前には太平洋の海底に沈んでいた火山が、フィリピン海プレートの北上に合わせて、約60万年前に本州に衝突し、伊豆半島になった。現在でもなお、フィリピン海プレートは本州に向けて入り込み、伊豆の大地は今でも緩やかな地殻変動が続いている。

地元で「俵磯」と呼ばれている爪木崎の「柱状節理」は、海底火山の噴火によって地層の面に沿ってできた「シル」の中にできた亀裂で、それらが、伊豆の本州の衝突時の隆起と浸食で地表に出てきた。

恵比須島には、海底に降り積もった火山灰が縞模様を成している。

石廊崎では、海底流出した溶岩が急激に冷やされることで砕けた「水冷破砕溶岩」を見ることができた。



17000年前の鉢窪山の噴火で流れ出した溶岩が作り出した浄蓮の滝でも、溶岩が冷える時にできた「柱状節理」を見ることができた。


その近くでは、石や砂が積み上げられた棚田で、不純物を濾過する湧水を利用しながら育てられてきた、独特のわざび栽培の様子を見ることができる。


修善寺の伊豆半島ジオパーク(ジオリア)で我々は、「動く大地」が生み出した伊豆半島が、今も「動き続け」、「生きている」様子を示した展示を見学し、大地が生きていることを真に受けることができた。

地殻活動が頻繁に起きるこの地で、噴火の度に神格を高めてきたという三嶋大社にも足を運んだ。


今回短期であったが、伊豆半島のフィールドワークをつうじて、「大地」というテーマに、我々は大きく揺さぶられたのであった。

キューレータの四方幸子さんによる「土地、土、大地、コンポスト......そしてビヨンド」 が参考になる。

エドワード・ポズネット『不自然な自然の恵み』を読む

日時:2024年6月21日(金)20:00~  形式:zoom   エドワード・ポズネット『不自然な自然の恵み 7つの天然素材をめぐる奇妙な冒険』桐谷知未訳、みすず書房(2023年)を読みます。 本を読んだ人であれば、どなたでも参加できます(無料)。 氏名・所属・関心を明記の上、...